シグナレス/signaless signaless

M編集部員日記 - 2011年6月26日(日)

みなみ会館で深田晃司監督『歓待』を観る。ささいなことから一つの家族の日常が狂っていく、そんな作品。意外とありそうなストーリーだけれど、人間臭くてユーモアがあって、そこがこの作品の愛すべきところだと思う。主役の二人が何とも好対照で味があった。


ずっと考えていた一つのことに結論が出た。決して良い答えではなかったけれど、ここからまた歩き出さないといけない。


そういえば、シグナレスのメンバーとも2ヶ月くらい会ってないような気がする。みんなどうしてるんだろう。(M)


M編集部員日記 - 2011年6月12日(日)

みなみ会館でクラウディア・リョサ監督『悲しみのミルク』を観る。ペルーの作品。冒頭、主人公の母親が死の間際に歌う曲が何とも重苦しい内容だと思っていたら、全編に重苦しい緊張感がみなぎっていた。ペルーの悲しい歴史が刻まれた作品だけれど、最後の最後に希望が感じさせることがこの作品をより素晴らしいものにしている。より多くの人に観てほしい作品。(M)


O編集部員日記 - 2011年6月6日(月)

休日。西院へ。王将もさすがに飽き気味なので、前から少し気になっていた「太陽カレー」という店へ初めて入ってみる。店の雰囲気がよかった。そのあとツタヤに行き、四条大宮まで歩き、散髪を済ませる。


阪急で四条河原町へ。河原町通りを北へ上がって市役所横の「100000t(じゅうまんとん)」へ初めて行く。雑居ビルの3階にある店。CD・レコードが中心だが、古本も置いている。いくつか心を動かされる本があったが、今回は何も買わず。また来よう。


そのあと、寺町通りを上がって、三月書房へ。久しぶりに来たが、やはり充実した品揃えに心が浮き立つ。自分が本屋を始めてみると、よけいこの店のスゴさが実感されるなあ。穂村弘『君がいない夜のごはん』、山本善行『古本のことしか頭になかった』、堀江敏幸『なずな』、筒井康隆『漂流』、勢古浩爾『最後の吉本隆明』を買う。


そのあと、ブックオフ三条店へ。群ようこ『本は鞄をとびだして』『本棚から猫じゃらし』を買う。


最後にジュンク堂BAL店へも。立川志らく『雨ン中のらくだ』を買う。この人の映画の本が面白かったので、落語の本も読んでみようかなと。


帰宅後、スティーヴン・キング『ペット・セマタリー』を読む。最近またこの人にはまっていて、『トム・ゴードンに恋した少女』と『痩せゆく男』を読んだ。


DVDで『男はつらいよ 寅次郎の縁談』を観る。シリーズ46作。
さすがにマンネリの感が否めず、寅さんもなんとなく元気がない。仕方がないよな。46作だもんなあ。それでも、大詰めの島の娘とミツオの別れのシーンは思わずじーんときてしまったのだけど。現在月一ペースで「寅さんDVDマガジン」というシリーズが刊行されている。全巻揃えるつもりはないのだけど、好きな作品は買うことにしている。上記立川志らく氏による「見どころガイド」なども収録されて1500円の嬉しいシリーズ。


寅さんばかり観ているわけではなく、最近は他にもけっこういろいろな映画を観ている。最近観たなかでとくによかったのは、『イン・ハー・シューズ』、『デーヴ』、『疑惑の影』、『ポセイドン・アドベチャー』、『月の輝く夜に』、『ギター弾きの恋』。(O)


M編集部員日記 - 2011年4月24日(日)

みなみ会館でアッバス・キアロスタミ監督『トスカーナの贋作』を観る。キアロスタミ監督の作品は随分久しぶりに観たように思う。しかし、期待を裏切らず、やはり良い作品だった。基本的に会話を中心とした作品であり、一つひとつのセリフにはユーモアとウィットと哲学的な重みが加えられている。そういう意味では少しできすぎという感じもしてしまうのだけれども。


主演のジュリエット・ビノシュはやはり際立っている。少し前に同じジュリエット・ビノシュ主演の『ポンヌフの恋人』のリバイバル上映を観たけれど、作品の完成度は断然『トスカーナの贋作』のほうが上だと思った。ジュリエット・ビノシュは。それぞれの作品において魅力的だと思う。歳を重ねても魅力を失わない、本物の女優というのはそういうものなのかもしれない。(M)


M編集部員日記 - 2011年4月23日(土)

京都シネマでジョエル&イーサン・コーエン監督・脚本『シリアスマン』を観る。普通の男に巻き起こる不幸を描く奇妙な作品。ストーリー自体も奇妙なものなのだが、この作品ではアメリカのユダヤ人社会が描かれており、それがどこまで真実なのかよく分からず、奇妙さが増幅されているといった印象。


青山七恵『ひとり日和』(河出文庫)読了。この作者の本を読むのは2冊目。表題作は確か何年か以前の芥川賞受賞作だったはずだが、結局何がテーマだったのかよく分からなかった。決して退屈とか読めないとかいう訳でもなく、何気なく読めてしまう。しかし、最後まで何気ないままで終わってしまったという感じだった。多分、これはこれで現代文学の一部分なのだろうと思う。(M)


M編集部員日記 - 2011年3月5日(土)

みなみ会館でベルナルド・ベルトルッチ監督『暗殺の森』を観る。本当はO氏がイマイチと書いていた『キック・アス』を観たかったのだけれど、時間が合わずこの作品を観た。さすがに名作と呼ばれるだけあって本当に良くできた映画。映像も美しく鮮烈だし、ストーリーも優れている。こういう映画を観ると“映画”を観たという感じがする。逆に言うと最近の新作はそういった意味で映画であることを強く意識させてくれないということかもしれない。


荻原魚雷『活字と自活』(本の雑誌社)読了。『シグナレス』10号でO氏が紹介していた本。最近、風呂の中で少しずつ読んでいた。様々な本やその周辺にまつわる雑文集で僕的には面白いし、共感できる内容だったけれど、読書が趣味という人でも、好き嫌いが分かれそうな本であるような気がする。いわゆる「趣味人」的な人にとってはちょっとしみったれたネガティブな話ととれるかもしれない。


ここのところ、何となく良いことないなという感じで、Hさんが再入院することになり、僕自身も花粉症にやられたり、歯の詰め物がとれたり、いつも以上に冴えない。こんなときだからこそ、荻原魚雷さんの文章のタイトルでもある「ノーフューチャー万歳」と叫びたい。(M)


O編集部員日記 - 2011年2月28日(月)

昨夜は『下妻物語』を観直す。こないだ買ったDVDで。初見のとき以上に感動。土屋アンナ演じるヤンキー嬢の失恋シーンをはじめ、「どうしたんだ自分?」と思うくらい、何度も涙がちょちょぎれた。


今日は久しぶりにみなみ会館へ。『キック・アス』を観る。評判がいいようだが、どうもぼくにはいまいち面白くなかった。先週観たイーストウッドの新作もあまりノレなかったし、最近なんだか外国映画が観れなくなっているような・・? 寅さんの観過ぎか?


映画の前に時間があったので、ブックオフ東寺店へ寄った。掘り出しものというほどのものはなかったんだが、それでもいくらか購入。


夜、コリン・ウィルソン『至高体験』(河出文庫)読了。サブタイトルは「自己実現のための心理学」。ウィルソンの一貫したテーマは、「意味を求める生物である人間の充足感」ということ。本書では、十九世紀以降の心理学の変遷を辿った上で、自身親交もあったマスローの業績をたよりに、純粋な悦びの瞬間「至高体験」が人間にとってどんな可能性をもつのかが探られている。倒錯や異常といった病理ではなく、あくまで健康人の心理学の確立を目指したというところが、マスローの仕事のキモであるようだ。そしてマスローとウィルソンの違いはといえば、マスローは至高体験を偶然やってくるものととらえたのに対し、ウィルソンは自分の精神力で呼び寄せることができるとした点だ。ともあれ面白い本だった。次は『夢見る力』を読もう。(O)


M編集部員日記 - 2011年2月26日(土)

京都シネマで園子音監督『冷たい熱帯魚』を観る。一言で言って恐ろしい映画。ふとしたきっかけで人生を大きく狂わせた男の物語。園子温監督の映画は何本か観ているが、いつもどこか狂っている。しかし、今回の映画はその狂い方が徹底的に負の要素でつらぬかれているように感じた。決して、休日の夜に観るべき作品ではない。ある種の人間の人間を超えたおぞましさが凝縮されている。全く救いのない極北の映画、そんな印象。(M)


O編集部員日記 - 2011年2月14日(月)

大阪市会へ。今年最初の参加。年末に多めに買いだめして、先月は仕入れを休んだので、定休の月曜はユックリできた。が、さすがにだいぶ在庫が減ってきて、そうユックリもしていられなくなってきたしだい。用事をしてたら家を出るのが遅くなってしまい、コンビニのサンドウィッチをパクつきながら、あわただしく入館。あれもこれもと欲張って入札し、結果今回もけっこうな量を落札。ダンボール箱11箱分。予算オーバーだが、まあいいか。でも、いい物を見落としてたり、だいぶ高めで入札してしまったのがあったり、とミスが多かったなあ。入札はしなかったけど、吉田健一が愛した雑誌「あまカラ」が大量出品されていた。初めて見た。小冊子ながらいい雰囲気の雑誌。


夜は、西院の裏通りに新しくできたつけ麺の店に入ってみる。なかなかうまかった。そして市会のあとのビールはこたえられない。王将もさすがに飽き気味だし、ここへはちょくちょく通うことになろう。


帰宅後、一時間だけ仮眠するつもりで、三時間以上寝てしまう。深夜三時頃からDVDで『結婚できない男』を観る。数年前のテレビドラマ。近年のテレビドラマはつまらないものが多いので普段は観ないのだが、これはなかなか面白いかも(「かも」がつくのは、まだ2話しか観てないので。これからの展開に期待)。阿部寛演ずる主人公は、場の空気を壊す言動を平気でする偏屈者。身近にいたらストレスフルなキャラクターだが、憎めないところもある。(O)


M編集部員日記 - 2011年2月12日(土)

大人の社会見学の取材で、向日町競輪場へ。こういう世界もあるんだなと、実感。
その後、独りでみなみ会館へ行く。シネマ・ノーヴォというブラジル映画の特集。『切られた首』という作品を観る。シネマ・ノヴォはフランスのヌーベル・ヴァーグに相当するもので、その作品はトリュフォーやゴダールを熱狂させたとのことなのだが、自分には何のことかさっぱり理解できず、何だか修行のような時間を過ごす。映像の意味もわからないし、背景に流れている音楽や音声が自分には不快感を与えるものでしかなく、途中本当に少し気分が悪いというか、このままこの映像と音を聴いていたらちょっとやばいんじゃないかと思ってしまった。いやはや、まだまだ全然修行が足りないようだ。(M)



M編集部員日記 - 2011年2月11日(金)

知り合いのMさんのお誘いで、アイリッシュパブにMINEというバンドのライブを観に行く。ケルトミュージックをベースにしたフルート、ウッドベース、パーカッションの3人組のバンド。繊細でそれでいてグルーヴ感があって、かなりよかった。ギネスを飲みながら聴いていると、最高。今週は色々あって、頭の中がぐちゃぐちゃだったけれど、すっかりリフレッシュできた。
ちなみに、MINEの演奏はYouTubeでも見られますので、興味のある方はどうぞ。


O編集部員日記 - 2011年1月31日(月)

10号を配布しに行く。まず、ワンダアカフェへ。マスターが「チミの店、雑誌で何度か見たよ」と言ってくれる。そして、各所スーパー前古本市の情報が載ったプリントをくださる。和風スパゲッティを食べる。


そのあと、阪急で大阪の天六。ワイルドバンチへ。が、閉まっていた。あらたに月曜も定休日になったらしい。ここで古本漁りを楽しみたかったんだけど、残念。10号はメモを添えてポストに入れさせてもらった。


ついでに、天神橋筋商店街を歩いて、天牛書店へも行く。何冊か買う。ここはいつ来ても、なにかしら収穫がある。


行き帰りの電車のなかでは、コリン・ウィルソン『超読書体験』上巻(学研M文庫)を読む。ウィルソンは十代の頃にはまっていた作家の一人なんだが、この人の本を読むのはずいぶん久しぶりのことだ。本書は読書術であるのみならず、ウィルソンの人生論でもある。


帰宅後、DVDで『男はつらいよ 花も嵐も寅次郎』を観る。第30作、マドンナは田中裕子。絶頂期の沢田研二が出演。ここ一月ほどずっと「男はつらいよ」シリーズにはまっている。30本くらい観た(全48作)。ベストはやはり、第1作『男はつらいよ』(マドンナ・光本幸子)か。これを観たときは、涙と笑いで顔がくしゃくしゃになってしまった。「寅さん、ありがとう」と思った。以前は『男はつらいよ』には興味がなかった・・というかむしろ敬遠していたくらいなのに。わからないものだ。他によかったものをあげてみると、第2作『続・男はつらいよ』(マドンナ・佐藤オリエ)、第3作『フーテンの寅』(新珠三千代)、第6作『純情篇』(若尾文子)、第11作『寅次郎忘れな草』(浅丘ルリ子)、第15作『寅次郎相合い傘』(再び浅丘ルリ子)、第17作『寅次郎夕焼け小焼け』(太地喜和子)、第32作『口笛を吹く寅次郎』(竹下景子)など。とにかく、寅さんは男のなかの男だ。(0)


M編集部員日記 - 2011年1月30日(日)

みなみ会館で福島拓哉監督『アワ・ブリーフ・エタニティ』を観る。あるウイルスに感染すると大切なものの記憶をなくしてしまうというSFっぽいストーリー。全体に手作りっぽい感じで、思っていた以上に良かった。


ところで、今日、みなみ会館で半袖のおじさんを見かけた。このおじさんは、みなみ会館や京都シネマでちょくちょく見かけるけれど、いつ見ても半袖のカッターと背広のズボンという格好をしている。今日みたいな日に寒くないんだろうかと思っていたら、そんなこちらの心配をよそにソフトクリームを食べていた。恐るべし。それにしても、このおじさんはちょっと気になる。(M)


M編集部員日記 - 2011年1月22日(日)

京都シネマでルイ・マル監督『地下鉄のザジ』を観る。その後、10号配布のため大阪へ。ちょうちょぼっこ、caloを周る。


夜、編集会議。11号及び写真展について話し合う。


『辛い飴 永見緋太郎の事件簿』読了。ジャズの世界を舞台にしたミステリのシリーズ第2弾。ミステリとしても面白いけれど、やはりジャズ小説として秀逸だと思う。ジャズを聴きたいという気持ちにさせる力がある。(M)



M編集部員日記 - 2011年1月15日(土)

みなみ会館で熊切和嘉監督『海炭市叙景』を観る。力作。152分という少し長めの作品だけど、キリリとした緊張感が最後まで保たれていた。久しぶりに奇をてらわず真正面から正攻法で勝負した日本映画を観たような気がした。


10号配布のため、恵文社一乗寺店とガケ書房へ。帰り道、以前から行きたいと思っていた古書善行堂とメリーゴーランドへ寄る。


今日買った本。「復活!精神病新聞」、佐藤泰志『海炭市叙景』(小学館文庫)、高峰秀子『にんげんのおへそ』(文芸春秋)、「週刊文春」(1月20日号)。「復活!精神病新聞」は10数年前東京で手に入れたミニコミ誌が復活したものをガケ書房で発見し、購入。(M)



M編集部員日記 - 2011年1月9日(日)

「シグナレス」の仕事始め。I氏の家で10号の付録のブックカバーと栞の作成、挟み込みの作業をする。その後、出来上がった10号を京都芸術センターとカフェ アンデパンダンの2箇所に配布。


夜、「シグナレス」新年会。編集部メンバーの他、執筆者の方も含め7名出席。1次会の後、編集部の4人で2次会、カラオケ。深夜2時ごろ散会。(M)



M編集部員日記 - 2011年1月2日(日)

みなみ会館で日向朝子監督『森崎書店の日々』を観る。神田神保町の古書店を舞台にした映画。


伊藤計劃『ハーモニー』(ハヤカワ文庫)読了。『虐殺器官』を読んだときも驚かされたけれど、『ハーモニー』を読んで改めて伊藤計劃の才能の豊かさを感じさせられた。見事なまでに作られた世界観、そして読むものを惹きつけるストーリー展開、本当に完成度が高い。しかも、この作品は闘病生活中に書かれた作品でもある。だからこそ、彼の作品を読んだ誰もが、伊藤計劃が今も生きていたなら次はどんな作品を書いたのだろうと想像せずにはいられないだろうと思う。


ところで、『ハーモニー』は21世紀末もしくは22世紀初頭という舞台設定になっているけれど、その世界で「本」はデッドメディアとして描かれている。「本」だけではなく、「映画」や「絵画」も同様に描かれている。普通に考えればそうなって当然なのかもしれないけれど、それでいいんだろうかと思う。文化がどうのこうのなどというつもりもなく、ただただ自分はそういうアナログなものの質感が好きというだけなのだけれど。(M)



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