シグナレス/signaless signaless

O編集部員日記 - 2013年5月10日(金)

終日雨。ぼちぼち営業、またぁり店番。


雨の日は商売的にはイタいけど、気分的にはむしろ楽。晴れた日にお客さんが少ないとじりじりするけど、雨の日はあきらめがつくから。本の値付けを進めつつ、合間に少し出久根達郎『いつのまにやら本の虫』を読む。


昨夜はDVDで『空の穴』を観返す。何回観るねん。
『海炭市叙景』もよかったけど、やっぱりこれが好き。寺島進演じる不器用な主人公の、年下女子への恋情が、そくそくと胸に迫る。もう十年以上前になるが、公開時みなみ会館で観たとき、終映後しばし席に座ったまま余韻に浸ってボーッとなっていたら、後ろの席から若い女子二人の「なにこれ〜、寝ちゃった〜」「わたしも〜」との会話が聞こえてきて、「なにをぅ。このよさがわからんというのか」と心のなかで憤ったことがあったけど、考えてみると、たしかに女子には乗りにくい映画かもしれんなあ、と今頃思ったり。(O)


O編集部員日記 - 2013年5月2日(木)

ちょっと気がかりなことがあったために、不抜けになっていた一日。これではいかんなと反省。


GW只中、ひたすら本を売る毎日。今日もいろいろな本がいろいろな人のところへ旅立っていった。後半も気持ちを引き締めていこう。


観光客の波が引いた日暮れ時、「古本おじさん」こと御常連Nさんが今日もご来店。こないだから蔵書を整理されていて、いろいろな本をお持込みくださるのだけど、今日も一箱持って来てくださる。ついでにいつも御自分の書庫の様子をあれこれお話しくださる。それが本好きには楽しい。


夜、DVDで『キッチン』を見直す。もう何度も見ている映画だけど、やっぱり良い。みかげたちの、やさしいけどべたべたしていないありかたが素敵で、見ているうちに気持ちがいい感じに静まってゆく。かなり特殊なきわどい家族を描いているのに、さわやかな家族映画になっている。(O)


M編集部員日記 - 2013年4月28日(日)

朝からみなみ会館へ中平康監督『狂った果実』を観に行く。午後、自宅に戻りテープ起こしをする。昨年は随分テープ起こしをしたけれど、一向に上達していない。夜、『シグナレス』15号の打ち上げ。高槻でタイ料理。いつもながらに、酔った勢いで、ひとりで楽しんでしまった。『シグナレス』のメンバーみんなが幸せになれますように。(M)


M編集部員日記 - 2013年4月27日(土)

Hさんの墓参りに行く。26日がちょうど一周忌。夜、石井裕也監督『舟を編む』を観る。(M)


M編集部員日記 - 2013年4月19日(金)

i氏とクロマニヨンズのライブへ行く。一曲目の「突撃ロック」から、盛り上がりは最高潮で、アンコールの最後の曲、「ナンバーワン野郎」まで約1時間30分があっという間に過ぎていった。やっぱりライブは良い。大げさに言うと、自分自身が世界と一つになる、そんな瞬間の輝きがそこにあるような気がする。だからこそ、私にはその時間が自分の日常と連続した同じ時間のように感じられないのだし、翌日にはその瞬間が本当にあったのかとすら思えるのだ。


先週の金曜日Sさんと食事をしたときに、ライブの素晴らしさについて話すと、残念ながらあまり理解してもらえず、「それって、もっと余韻を楽しんだら良いんじゃないですか。」と言われた。勿論、私にはそんなふうに一夜にしてその時間が幻のように消えてしまうのは残念なことだけれど、そういう全く別世界と思わせるほどの突き抜けた瞬間だから良いのであって、いつまでも余韻にひたれるようなことであれば、それは逆に輝きが失われることを意味しないだろうかと思う。(M)


M編集部員日記 - 2013年2月24日(日)

京都シネマで中村義洋監督『みなさん、さようなら』を見る。主演の濱田岳の雰囲気や団地に引きこもるという設定から、のほほんとした雰囲気の作品なのかと思って観ていたら、途中から社会問題を含むかなり現実的なストーリーになり、ちょっと思っていた感じとは違う作品だった。この作品のテーマの一つは昭和の団地を描くということだと思うのだけれど、それは僕自身にもリアルタイムに体験したことなので、共感できるもので、監督の思いが十分伝わってきたような気がする。最後は、ちょっと悲しいけれど、前向きで個人的には良かったように思う。


ほぼ毎日のようにお酒を買っているコンビニが閉店することになった。それ自体はよくある話なのだけれど、ふと、そのコンビニができる前がなんだったのだろうと考えてみると思い出せない。元々は『二十歳の原点』の高野悦子も通ったという書店だった。その書店が閉まった後、確かコンビニができる前に何か別の店があったような気がするのだけれど、記憶が定かではない。こんなふうなことはよくあって、近所の商店街も店の移り変わりが多くて、どんな店があったのかということをどんどん忘れていく。


この間、この日記に書いた柴崎友香の小説は、主人公が今住んでいる大阪の町の過去を巡る物語で、それは主に近代の風景ということであったけれど、僕自身はそれほど昔ではなく、今よりもほんのちょっと前の風景が気になる。しかし、それはすぐに消えていく。勿論、それぞれの土地や建物の登記簿などの記録を遡れば何があったか分かるのだろうけれど、それは町並みや風景とは別のものだ。だから、偶然取られた映像や写真、まさにその店の当事者の記憶くらいしか残されていくものはない。


これだけ、情報化が進んだ社会でもそうやった消えていくものが多いというのは、当たり前なのかもしれないけれど、僕には少し不思議な感じがする。(M)


M編集部員日記 - 2013年2月13日(水)

何か月かぶりにNさんに会う。色々あったけれど、新しい仕事が決まったとのこと。ひとまず良かったなと思う。


柴崎友香『この街の今は』(新潮文庫)読了。この人の小説はいつも関西弁が心地よい。芸人と呼ばれる人たちの言葉とは違い、柴崎作品の関西弁はポップな感じがする。リズミカルな感じとでも言えば良いだろうか。それから、今回読んでみて、次号で特集する保坂和志にも少し似ているなと思った。どちらも出来事ではなく、日常と会話の楽しさがある。


それにしても、メールというのはなかなか難しいと改めて思う。先日もある方からいただいたメールを読んであまり良い感じがしなかったのだけれど、もしかすると相手はそんなつもりはなくて、軽い気持ちで書いているのかなとも思ったりした。逆にこちらから送ったメールでも意図がうまく伝わらないこともあるのだし、手軽ではあっても信用できないと僕自身は思う。しかし、そういうややこしさを含めメールを使いこなせるのが、現在においては普通なのかもしれない。(M)


M編集部員日記 - 2013年2月11日(月)

みなみ会館で佐藤真監督『阿賀に生きる』を観る。公開されてから20年、ニュープリントでの上映。地味だけど丁寧な良い映画だ。この作品と比べると最近のドキュメンタリーはあまりにも軽いような気がする。


阿賀に生きる

そのあと、京都芸術センターでの稲垣智子個展を観る。偶然通りかかって面白そうなので入ってみた。映像を中心とした作品。ものづくりの楽しさが伝わってくる。


さらに、美術館「えき」KYOTOでロベール・ドアノーを観る。もう一度、人の少ないときに観にきたいと思う。(M)


M編集部員日記 - 2013年2月9日(土)

みなみ会館で『ロンドンゾンビ紀行』を観る。みなみ会館のちらしにはホラー・コメディーとあったのだが、ホラーとしても、コメディーとしてもかなりぬるい。それにしても、ゾンビ映画は毎年のように製作されているような気がする。それだけ観客のニーズがあるのか、それとも作りたい人間が多いのか。


クロマニヨンズ『YETI vs CROMAGNON』をようやく購入する。(M)


M編集部員日記 - 2013年1月19日(土)

みなみ会館にて木村文洋監督『愛のゆくえ(仮)』を観る。一昨年末出頭したオウム真理教の逃亡犯とその生活を支え続けた女性をモチーフにした作品。上映後、監督とプロデューサーの舞台挨拶もあり、それなりに楽しめたのだが、やはり映画はフィルムで撮るものという感を強く持った。


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